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勤怠管理をExcelで続けるか見直すか、記録の根拠と保存から考える4つの観点

結論:Excelかどうかではなく、「何を根拠に記録しているか」で見直しを考える

少人数の会社では、出退勤をExcelで管理している会社もあります。既に使っているソフトで始められ、自社の形に合わせやすい点は、Excelの長所といえます。ガイドラインは、始業・終業の時刻を、使用者の現認や客観的な記録などの方法で確認し、適正に記録することを求めています。そのため当サイトでは、ソフトの種類よりも、始業・終業の時刻を何に基づいて入力し、どう確認しているかが重要だと考えます(当サイトの見解)。この記事では、厚生労働省の資料に書かれている内容を先に示し、そのうえで、読者の皆さんが確認できる点と、見直しを考える4つの観点を、当サイト独自の整理として紹介します。

前提:使用者には労働時間を適正に把握する責務がある

厚生労働省のガイドライン(パンフレット)は、使用者は労働者ごとの労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、適正に記録することを求めています。確認の原則的な方法として挙げられているのは、次の2つです(資料A p.4)。

後者については、客観的な記録を基本情報とし、必要に応じて、使用者の残業命令書とその報告書など、使用者が労働時間を算出するために有している記録と突き合わせて確認する、とされています(資料A p.5)。

この考え方は、労働基準法のうち労働時間に係る規定が適用される全ての事業場が対象です。対象となる労働者は、管理監督者などの労働基準法第41条に定める者と、みなし労働時間制が適用される労働者(事業場外労働では、みなし労働時間制が適用される時間に限る)を除く、すべての労働者です。ただし、これらに当たる労働者についても、使用者には健康確保のため、過重な長時間労働をさせないなど適正な労働時間管理を行う責務があると、同じ資料に書かれています(資料A p.2)。

Excelの勤怠表を使うときに、確認したいこと

ガイドライン(パンフレット全12ページ)の本文には、「Excel」「エクセル」「表計算」「スプレッドシート」の語は出てきません(2026年10月4日時点)。Excelは表の形式であり、上の方法のどれに当たるかは、表に入れる時刻を何に基づいて入力しているかによって変わると考えられます(当サイトの整理で、厚生労働省の見解として示されたものではありません)。次の3点を確認してみてください。

  1. 入力する時刻の根拠は何か: 使用者や管理者が現認した時刻か、タイムカード・ICカード・パソコンの使用時間の記録などの客観的な記録か、本人の申告か。客観的な記録を取り込んで表を作っている場合は、その記録が根拠になります。本人の申告を入力している場合は、次の章の、自己申告で把握する場合の措置を確認します。
  2. 入力した時刻を、何と照らして確認しているか: 客観的な記録を基礎にする場合も、必要に応じて、残業命令書などの記録と突き合わせます(資料A p.5)。自己申告の場合は、入退場の記録やパソコンの使用時間の記録との間に、著しい乖離がないかを確認します(資料A p.5)。
  3. 誰が、いつ入力し、いつ確認しているか: 本人が入力するか担当者が入力するかで、具体的にどう扱われるかは、この資料には書かれていません。迷う場合は、労働基準監督署などの窓口で確認してください。

自己申告で把握する場合の主な措置(抜粋)

ガイドラインは、やむを得ず自己申告制で始業・終業時刻を把握する場合に講ずべき措置を、本文で5つ示しています(資料A p.5〜p.6。p.1の要約では3点にまとめられています)。以下は、その要点の抜粋です。実際に対応するときは、原文の全文で確認してください。

  1. 対象の労働者に、労働時間の考え方や自己申告制の具体的内容、適正に申告したことで不利益な取扱いが行われないことなどを、十分に説明する。
  2. 労働時間を管理する者にも、自己申告制の適正な運用を含め、十分に説明する。
  3. 自己申告の時間が実際と合っているかを、必要に応じて実態調査し、補正する。入退場の記録やパソコンの使用時間の記録など、事業場内にいた時間が分かるデータがあり、自己申告との間に著しい乖離があるときは、実態調査と補正を行う(定期的な実態調査が望ましいとされています)。
  4. 自己申告した時間を超えて事業場内にいる時間について、理由を報告させる場合は、その報告が適正かを確認する。休憩や自主的な研修などと報告されても、実際には使用者の指示による業務など、使用者の指揮命令下に置かれていたと認められる時間は、労働時間として扱う。
  5. 適正な申告を妨げる措置を講じない。時間外労働の申告に上限を設け、超える申告を認めないといった措置のほか、時間外労働削減の社内通達や定額払が、申告を妨げる要因になっていないかも確認する。

また、客観的な記録に基づくことを原則としつつ、自己申告制も併用している場合には、これらに準じた措置が必要とされています(資料A p.5)。

Excel運用に当てはめると、当サイトの例としては、「入力した時刻」と「入退場の記録やパソコンの使用時間の記録」を定期的に突き合わせる仕組みがあるか、入力欄に上限の制限をかけていないか、といった点の確認になります。突き合わせの頻度や方法は、当サイトによる実務上の例で、ガイドラインが指定しているものではありません。

記録の保存:対象、期間、起算日

労働時間の記録は、保存の面でも確認が必要です。厚生労働省の資料(資料B、資料C)には、次のことが書かれています。

Excelのファイルは、人ごと・拠点ごとに分かれたり、上書きされたりすることがあります。当サイトの見解として、保存期間の間は過去の版を残せているかを、実務上の確認点としてください。なお、資料Bは令和2年4月1日付で、資料Cは確認日時点の公開内容です。保存期間は法改正で変わることがあるため、実際に保存期間を決める際は、厚生労働省の公式情報で最新の内容を確認してください。

見直しを考える4つの観点(当サイト独自の整理)

以下は、公的な基準でも検証された基準でもなく、見直しを考えるための当サイト独自の観点です。点数や件数のしきい値は設けていません。自社の状況に当てはめて考えてください。

  1. 記録の根拠: 入力する時刻の根拠(現認、客観的な記録、本人の申告)を、説明できるか。本人の申告が中心なら、突き合わせの仕組みがあるか。
  2. 締めと集計の負担: 月末の集計や承認の回収に、自社として許容できる範囲を超える手間がかかっていないか。
  3. ファイルの管理: 最新版がどれか分からなくなる、上書きで過去の記録が失われるといったことが起きていないか。保存すべき期間の記録を残せているか。
  4. 上限や休暇の管理: 有給休暇や残業時間の管理を目視に頼っていて、確認の抜けが起きていないか。

ツールを比べるときの軸

軸確認すること
打刻の方法パソコン、スマートフォン、ICカードなど、現場の働き方に合うか
記録の根拠打刻時刻が客観的な記録として残り、後から修正した履歴も分かるか
出力給与計算や会計への連携、CSV出力ができるか
保存必要な期間の記録を残し、取り出せるか
費用1人あたりの月額、最低利用人数、無料の試用の有無

料金や機能は変わることがあります。比較する際は、各サービスの公式情報で最新の内容を確認してください。

Excelを続ける場合の補強

見直さずにExcelを続ける選択もあります。その場合に、記録の根拠を補う助けになると当サイトが考える3点を挙げます(当サイトの提案で、ガイドラインが定める要件を満たすことを保証するものではありません)。

注意点

まとめ

勤怠をExcelで管理する場合は、表に入れる時刻の根拠(現認、客観的な記録、本人の申告)と、その確認の方法を、まず確認してください。本人の申告が中心の場合は、自己申告で把握する場合の主な措置(説明、実態調査と補正、申告を妨げない運用など)を、原文で確認します。そのうえで、記録の保存期間と、必要な期間の記録を残せているかも合わせて、見直しを検討してください。

参考資料

参照資料の確認日: 2026年10月4日(原文で確認) 本文の最終更新日: 2026年10月4日