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学習塾の講師の勤怠管理、コマ給でも記録を考えたい時間の種類を整理する

結論:講師が労働者に当たる場合、コマ給は賃金の「計算の単位」であり、時間を記録しなくてよい理由にはならない

授業1コマ単位で講師への支払いを決める塾もあります。コマ数を数えれば足りるように感じますが、賃金をコマ単位で計算することと、講師が働いた時間を記録することは別の話です。授業の前後の準備、授業外の事務、研修、待機といった、コマに表れない時間が混ざっていないかを確認する必要があります。この記事では、厚生労働省の資料にある労働時間の考え方を先に示し、塾の現場で想定される時間を、記録の面から整理します。この記事は、講師が労働基準法上の労働者に当たる場合を前提にしています。講師が労働者に当たるかどうかは、後の章のとおり実態で判断され、ガイドラインの対象外となる労働者もいます。内容は2026年10月時点で確認した資料に基づきます。

労働時間の考え方(厚生労働省の資料より)

厚生労働省のガイドライン(パンフレット)は、労働時間を次のように説明しています(資料A p.3)。

「コマ給だから授業の時間だけ」とは決まらず、準備や後始末、待機、義務づけられた研修は、上の考え方に当てはまるかどうかを確認する対象になります。

講師は「労働者」に当たるか:契約の名前だけでは決まらない

講師との契約を業務委託としている塾もあります。厚生労働省のリーフレット(資料D)によると、労働基準法上の「労働者」に当たるかどうかは、①労働が他人の指揮監督下で行われているか、②報酬が指揮監督下の労働の対価として支払われているか、という2つの基準(使用従属性)で、実態をもとに総合的に判断されます。判断の要素として、仕事の依頼や指示に対する諾否の自由の有無、業務遂行上の指揮監督の有無、拘束性の有無、代替性の有無が挙げられ、事業者性や専属性が補強要素とされています(資料D p.1)。業務委託の契約であっても、実態として労働者に当たる場合があるとされています。

記録の方法:何を根拠に残すか

同じガイドラインは、始業・終業時刻の確認の原則的な方法として、使用者が自ら現認する方法と、タイムカードやICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎とする方法を示しています(資料A p.1)。やむを得ず自己申告で把握する場合は、自己申告を行う者と管理する者への十分な説明、自己申告と在社時間の記録との間に著しい乖離があるときの実態調査と補正、申告を阻害する措置の禁止などが、主な措置として求められます(ガイドライン本文には5つの措置が示されています。資料A p.5〜p.7。実際に対応するときは原文で確認してください)。

塾の場合、授業のコマ表(シフト表)の予定をそのまま実績として記録すると、授業の延長や遅れが反映されません。当サイトでは、実際の開始・終了の時刻が分かる記録を残す仕組みが重要だと考えます。これは資料に直接書かれたものではなく、当サイトの考え方です。

判断表:時間の種類ごとの記録の考え方

下の表の「根拠」の列は、3つに分かれています。厚生労働省の資料に例示があるもの、当サイトの整理(資料に例示がないもの)、この記事で参照した資料では判断できないもの(「資料では判断できない」)です。

時間の種類具体例記録の考え方根拠
授業個別指導、集団授業、面談の同席塾が割り当てた授業は、使用者の指示による業務。コマ数に加えて実際の開始・終了時刻も残す当サイトの整理(資料A p.3の労働時間の定義を授業に当てはめたもの)
授業前後の準備・片付け教室の準備、清掃など(事業場内で行うもの)使用者の指示により、就業を命じられた業務に必要な準備行為や後始末(清掃等)を事業場内で行った時間は、労働時間に該当する例。事業場外で行う準備(自宅での教材の確認など)は、この資料では判断できません資料A p.3(例1)
待機空きコマで教室に待機し、呼ばれたら対応する指示があれば即時に業務に従事することを求められ、離れられない待機は、労働時間に該当する例資料A p.3(例2)
研修全体研修、新人研修(会議の扱いは、この記事の資料では判断できません)参加が業務上義務づけられている研修は、労働時間に該当する例資料A p.3(例3)
授業外の事務指導報告書、保護者への連絡、成績の入力塾が求めている作業であれば、指示により業務に従事する時間として記録する当サイトの整理
教室間の移動他校舎への応援この記事で参照した資料では判断できません。記録は残し、取扱いは都道府県労働局・労働基準監督署などで確認してください資料では判断できない
休憩授業の合間の休みこの記事で参照した資料では取り上げていません。取得の有無と時間を記録しておくことを、当サイトでは提案します。取扱いは公式情報で確認してください資料では判断できない
振替・代講欠席生徒の振替授業、他講師の代わり実際に行った授業として記録し、元の授業の日時・担当講師と紐づける(二重に数えない)当サイトの整理

時間を仕分ける4つの質問(当サイト独自の整理)

次の4つの質問は、公的な基準ではありません。当サイトが記録の整理のために考えた独自のもので、労働時間に当たるかどうかを判定するものではありません。労働時間に当たるかの判断は、前述のとおり、客観的に見て使用者から義務づけられたものといえるか等で行われます。

  1. 塾が指示した作業か(明示の指示がなくても、実際に求められている作業を含む)。
  2. 行わないと、授業の運営や評価に支障や不利益があるか。
  3. 場所や時間に縛られているか。
  4. 開始と終了を、後から本人も塾も説明できるか。

質問1・2に「はい」が当てはまる時間は、特に漏れなく記録を残したい時間と考えます。「いいえ」でも、労働時間に当たる場合があります。

記録項目の雛形

当サイトの例として、次の欄があると後から確認しやすくなります(公的な様式ではありません)。

  1. 講師名と日付
  2. 時間の種類(授業、準備・片付け、待機、研修、授業外の事務、移動、振替・代講)
  3. 開始時刻と終了時刻(予定ではなく実際の時刻)
  4. 担当した教室と科目
  5. 振替・代講の場合は、元の授業の日時、元の担当講師、依頼者
  6. 休憩の取得の有無
  7. 本人の確認と、責任者の承認

記録の保存

労働時間の記録に関する書類は、労働基準法第109条の対象です。出勤簿、タイムカード等の記録、使用者が自ら始業・終業時刻を記録したもの、労働者が自ら労働時間を記録した報告書などが例に挙げられています。書類の保存期間は、原則5年ですが、経過措置として当分の間は3年とされています(資料B Q2-1、資料C)。これとは別に、賃金などの請求権の時効があり(賃金は当分の間3年、退職金は5年)、時効が更新される場合などは、実際には3年を過ぎても書類が必要になることがあると、資料Cに書かれています。法改正による変更や個別の書類の扱いは、厚生労働省の公式情報で最新の内容を確認してください。

注意点

まとめ

講師が労働者に当たる場合、コマ給は賃金の計算方法であり、働いた時間の記録を不要にするものではありません。指示された業務に必要な準備・後始末(事業場内)、即時対応を求められ離れられない待機、参加が義務づけられた研修といった時間は、厚生労働省の資料が労働時間に該当する例として挙げています。記録は予定ではなく実際の時刻で残し、保存期間も確認したうえで、移動や休憩など資料で判断できない点は公式の窓口で確認してください。

参考資料(確認日: 2026年10月3日)

参照資料の確認日: 2026年10月4日(原文で確認) 本文の最終更新日: 2026年10月4日