勤怠管理ツールを選ぶ前の確認表:小規模事業者が、公式情報で埋める5つの項目
結論:ツールを比べる前に、自社の「確認表」を埋める
勤怠管理ツールを探すと、機能の数や画面の使いやすさに目が向きがちです。しかし、使用者に求められているのは、労働者ごとの労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、適正に記録することです。ツールは、その手段の一つです。
この記事は、候補のツールを2〜3つ並べて書き込むための「確認表」です(書き込みは、印刷した表や、写した表に行います)。特定のツールの機能や価格、おすすめは書きません。分からない欄は、「未確認」と書いたまま、公式の資料・問い合わせ・試用で埋めます。表の5つの項目は、当サイトが独自に整理したもので、公的な基準ではありません。
確認表の使い方
- 候補を2〜3つ選び、それぞれの公式サイトの料金ページ・機能説明・利用規約・ヘルプを手元に開きます。
- 下の表を、印刷するか、自分のメモや表計算に写し、「候補の記入メモ」の欄に、分かったことと、見た場所(ページ名など)を書きます。この記事の表は、ページ上では入力できません。
- 公式の資料から分からないことは、「未確認」と書きます。「未確認」は欠点ではなく、問い合わせや試用で確かめる項目です。
- 「未確認」が多い候補は、申し込む前に、その項目の確認を済ませます。
確認表
| 項目 | 確認すること | 公式情報で見る場所 | 候補の記入メモ(A / B / C) |
|---|---|---|---|
| 1. 打刻の方法 | 打刻できる端末(パソコン、スマートフォン、ICカードなど)と、場所(事務所、現場、外出先) | 機能説明、ヘルプ | |
| 1. 打刻の方法 | 打刻できないとき(通信できない、端末がない)の記録の方法 | ヘルプ、問い合わせ | |
| 2. 記録の根拠 | 打刻の元の記録が、後から直しても残るか | 機能説明、ヘルプ、問い合わせ | |
| 2. 記録の根拠 | 修正したときに、誰がいつ直したかが分かるか | 機能説明、ヘルプ、問い合わせ | |
| 2. 記録の根拠 | 本人の申告を併用する場合、実際の時間との突き合わせができるか | ヘルプ、問い合わせ | |
| 3. 出力と保存 | CSVなどで出力でき、給与計算や会計の作業に使える形か | 機能説明、出力のサンプル | |
| 3. 出力と保存 | 保存期間の分の記録を、取り出せるか | 利用規約、ヘルプ | |
| 3. 出力と保存 | 契約をやめた後、記録を取り出せるか | 利用規約、問い合わせ | |
| 4. 費用 | 1人あたりの月額、最低利用人数、無料の範囲 | 料金ページ | |
| 4. 費用 | 自社に必要な機能が、そのプランに含まれるか | 料金ページ、機能一覧 | |
| 5. 働き方が散らばる場合 | 直行直帰・現場・外注・コマ給など、自社の働き方で記録できるか | ヘルプ、試用、問い合わせ |
各項目の根拠と、確認の観点
1・2:記録の根拠(厚生労働省のガイドライン)
厚生労働省のガイドライン(パンフレット)は、始業・終業時刻の確認方法として、使用者が自ら現認する方法と、タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎にする方法を示しています(資料A p.1)。やむを得ず自己申告で把握する場合は、講ずべき措置が示されています(資料A p.5〜p.7。実際に対応するときは原文で確認してください)。自己申告の措置の概要は、Excelの勤怠管理を見直す観点の記事にまとめています。
このパンフレット本文(確認日時点の本文検索)には、「Excel」「エクセル」「表計算」「スプレッドシート」の語は出てきません。ツールの種類が指定されているのではなく、時刻をどの方法で確認し、記録するかが示されています。ガイドラインの対象は、労働時間に関する規定が適用される全ての事業場で、対象となる労働者の範囲には例外があります(資料A p.2)。
ツールの打刻が、ガイドラインの「客観的な記録」に当たるかどうかは、この資料だけでは判断できません。ツールの公式の説明に加えて、必要な場合は、労働基準監督署などの窓口で確認してください。
3:出力と保存(保存期間)
労働時間の記録に関する書類(出勤簿、タイムカード等の記録など)は、労働基準法第109条の対象で、保存期間は原則5年です。ただし、経過措置として、当分の間は3年が適用されています(資料B Q2-1、資料C)。これは、書類の保存期間の話で、賃金や退職金の請求権の時効とは別の期間です。時効が更新されることなどから、実際には3年を過ぎても書類が必要になることがあると、資料Cに書かれています。保存期間の起算日については、Excelの勤怠管理を見直す観点の記事で整理しています(資料B Q2-3)。
表の「保存期間の分の記録を、取り出せるか」では、この期間を、自社が何年として運用するかを決めたうえで、ツールが対応できるかを見ます。
4:費用
料金や条件は変わることがあります。申し込む時点の公式の料金ページで、確認してください。確認する数字は、1人あたりの月額、最低利用人数、無料の範囲、必要な機能が含まれるプランかの4点です。公式料金ページの記載を、この軸に当てはめた例は、Excelの勤怠管理を見直す観点の記事の「軸に当てはめる例」にあります(広告を含みます)。
5:働き方が散らばる場合
現場が複数に分かれる、直行直帰が多い、外注や一人親方が入る、コマ給で働く講師がいるなど、働き方が散らばる場合は、打刻の方法や記録の根拠に、追加の確認が必要になります。建設業の場合の整理は建設業のExcel勤怠の記事に、コマ給の塾講師の場合の時間の種類の整理はコマ給の塾講師の記事にあります。
移動時間や休憩の取り扱い、労働者かどうかの判断は、個別の事情によります。この記事では、判断を示しません。
この記事で判断しないこと
- 各ツールの機能・価格・使いやすさ。表を埋めるときに、公式の情報で確認してください。
- どのツールを選ぶべきか。当サイトは、特定のツールをすすめません。
- ツールの打刻が、ガイドラインの「客観的な記録」に当たるか。
- 自社の労働者が、ガイドラインの対象に当たるか。
表を埋めたあとに:入力のルール
ツールを替えても、いつ・誰が・何を根拠に入力するかというルールが曖昧なままだと、記録の抜けは減りません。入力の期限、修正の手順、確認する人を、先に決めておくことが大切です。
注意点
- この記事は、厚生労働省の資料の記載と、当サイトの整理をまとめたもので、個別の事情に対する判断や、法令への適合を保証するものではありません。
- 制度や料金は、変わることがあります。申し込む前に、公式の案内で最新の内容を確認してください。
- 個別の事情については、労働基準監督署や、社会保険労務士などの専門家に相談してください。
まとめ
勤怠管理ツールを選ぶときは、打刻の方法、記録の根拠、出力と保存、費用、働き方が散らばる場合の5つを、確認表に書き写して比べます。分からない欄は「未確認」のまま残し、公式の情報、問い合わせ、試用で、一つずつ埋めてください。
参考資料
- 資料A: 厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(パンフレット、平成29年1月20日策定)。p.1〜p.2、p.5〜p.7。 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000187488.pdf
- 資料B: 厚生労働省労働基準局「改正労働基準法等に関するQ&A」(令和2年4月1日)。Q2-1(p.6)、Q2-3(p.8)。 https://www.mhlw.go.jp/content/000617980.pdf
- 資料C: 厚生労働省「スタートアップ労働条件」事業者・労務管理担当の方のQ&A「賃金台帳等の労働契約関係の書類の保存期間は何年ですか?」(ページ内に日付の記載なし。確認日時点の公開内容)。 https://www.startup-roudou.mhlw.go.jp/qa/zigyonushi/syuugyoukisoku/q6.html
参照資料の確認日: 2026年10月4日(資料A〜C。原文で確認) 本文の最終更新日: 2026年10月6日(新規の下書き。表形式の確認表に再構成。表はページ上で入力できない旨を明記)